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トランプ大統領もタジタジ!?英国首相官邸の「猫公務員」ラリーの奇妙な日常
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トランプ大統領もタジタジ!?英国首相官邸の「猫公務員」ラリーの奇妙な日常

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ダウニング街の「真の権力者」

2019年6月、世界中の注目が英国ロンドン、ダウニング街に集まっていました。アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ氏の公式訪問を迎え、厳重な警備が敷かれる中、一台の巨大なリムジンが首相官邸の前に停車しました。その時、予期せぬ「事件」が起こります。茶と白の虎猫が、まるで雨宿りでもするかのように、そのリムジンの下に潜り込み、一歩も動こうとしなかったのです。抗議デモ隊ですら足止めできなかった大統領の車列を、たった一匹の猫が一時的に停止させたというニュースは、瞬く間に世界を駆け巡りました。

この猫こそが、英国首相官邸に住む「内閣府ネズミ捕獲長官」、通称ラリーです。彼は単なるペットではありません。英国政治の中心で、由緒ある役職に就く、正真正銘の公務員なのです。しかし、その荘厳な肩書とは裏腹に、ラリーの公務は昼寝や来客の出迎え、そしてネズミ問題の「戦術的計画段階」での熟考だと、公式サイトは冗談めかして説明しています。この公式と現実のユーモラスなギャップこそが、ラリーという存在の魅力であり、世界中の人々を惹きつけてやまない「癒やしとシュールさ」の源泉となっています。本記事では、英国の権力構造に深く根ざしたこの奇妙で魅力的な伝統と、その最も著名な現職者であるラリーの気ままな公務員生活について、その歴史から数々の逸話、そして文化的意義に至るまで、徹底的に解説していきます。

ネズミ捕獲長官の歴史

ラリーは、英国ならではの風変わりで由緒ある伝統の継承者です。この役職の重要性を理解するためには、まずその歴史的背景を紐解く必要があります。

古代からの猫と権力

英国政府における猫の存在は、なんと16世紀のヘンリー8世の時代にまで遡ります。当時の大法官であったトマス・ウルジー枢機卿が、公務の際に自身の猫を傍らに置いていたという記録が残っています。当時、猫は魔術と結びつけられることも多く、公務員としての役割を持つことは極めて異例でした。この権力の中枢における初期の風変わりな慣習が、後の「ネズミ捕獲長」という制度の精神的な礎を築いたと言えるでしょう。

公的な承認と国家予算

何世紀にもわたり、猫たちは非公式に政府の建物を害獣から守ってきましたが、その地位が公的に認められたのは20世紀に入ってからです。1929年6月3日付の公式記録には、大蔵省が「有能な猫の維持のために、小口現金から1日1ペニーを支出する」ことを許可したと記されています。この予算は後に増額され、現在では年間100ポンドが設定されています。これにより、猫は単なるペットではなく、国家予算から維持費が支払われる正式な国家公務員としての地位を確立しました。この金銭的な裏付けこそが、この役職の「公式」性を強調し、その担い手である猫の存在を一層ユーモラスなものにしています。

歴代の「猫公務員」たち

ラリー以前にも、多くの猫たちがこの名誉ある職務を務め、英国民に愛されてきました。特に有名なのは以下の猫たちです。

ピーター3世(通称:偉大なるピーター)

5人の首相のもとで16年以上も奉職し、「偉大なるピーター」として知られました。

ウィルバーフォース

記録上、最も長くダウニング街に仕えた猫で、エドワード・ヒースからマーガレット・サッチャーまで、4人の首相のもとで18年間公務を全うしました。「鉄の女」サッチャー首相が、モスクワのスーパーマーケットで彼のためにイワシの缶詰を購入したという逸話は有名です。

ハンフリー

政治風刺コメディの登場人物にちなんで名付けられ、国民的な人気を博しました。彼が一時失踪した際には、国内に大きな動揺が広がり、ホワイトハウスの「ファースト・キャット」であったソックス(クリントン大統領の飼い猫)から安否を気遣うメッセージが届くほどでした。

この伝統はダウニング街10番地に留まらず、外務・英連邦省のパーマストンや大蔵省のグラッドストンなど、他の省庁にも独自のネズミ捕獲長が任命されています。さらには在ヨルダン英国大使館にも同様のポストが新設され、英国政府内に一種の「猫主政治(Catocracy)」が形成されているのです。

野良猫から「ネズミ捕獲長官」へ

ラリー自身の物語は、彼の公的な人気を支える「無一文から富を築く」古典的な英雄譚です。

公務への召集

2011年初頭、ダウニング街の威厳あるファサードは、テレビの生中継中にネズミが有名な黒いドアの前を走り抜けるという失態によって打ち砕かれました。この公然の恥は、ダウニング街内部に「親猫派」を形成させ、新たなネズミ捕獲長を任命する決定へと繋がったのです。

選ばれし者、そして「怠け者ラリー」

白羽の矢が立ったのは、ロンドンで最も有名な動物保護施設「バタシー・ドッグズ・アンド・キャッツ・ホーム」に保護されていた4歳の茶白の虎猫、ラリーでした。彼は野良猫としての経歴から「高い追跡意欲と狩猟本能」を持つと喧伝され、大きな期待を背負ってダウニング街に迎え入れられました。

しかし、その期待とは裏腹に、ラリーの初動は芳しくありませんでした。就任から1ヶ月も経たないうちに、匿名の情報筋から「殺しの本能が著しく欠如している」と評され、狩りよりも睡眠を好み、メスの猫と仲良くしている姿が報じられました。タブロイド紙からは「怠け者のラリー(Lazy Larry)」という不名誉なあだ名まで頂戴する始末。ネズミ問題は深刻化し、当時のデービッド・キャメロン首相が閣僚との夕食会でネズミにフォークを投げつけるという事件まで起きたほどです。

皮肉な人気

ラリーが初めてネズミを仕留めたことが確認されたのは2011年4月のこと。彼のネズミ捕りの実績はその後も一貫性を欠きましたが、皮肉なことに、ラリーの人気を不動のものにしたのは、彼が職務要件を満たせなかったという事実そのものでした。彼は「有能な猫」という期待を裏切り、「怠け者」というレッテルや首相のフォーク投げ事件は、通常の職場であれば解雇理由となるはずです。しかし、ラリーの場合はむしろ彼の魅力を増幅させました。なぜなら、その職務怠慢ぶりが「ネズミ捕獲長官」という公式の肩書を一層滑稽で愛すべきものに変えたからです。彼は冷酷な殺し屋ではなく、どこか気の抜けた、共感を呼ぶキャラクターとなったのです。国民が求めていたのは、効率的な害獣駆除業者ではなく、温かく、少し仕事嫌いな、親しみやすい存在だったのかもしれません。

猫公務員の非公式な職務:要人との遭遇とSNSでの活躍

ラリーの公的なキャリアを定義づけるのは、ユーモラスで心温まる数々の逸話です。これらこそが、彼のキャラクターの核心をなすものです。

ネズミ捕獲長の一日

ダウニング街のウェブサイトは、彼の職務を「来客への挨拶、警備の視察、骨董家具の寝心地検査」とユーモアを交えて紹介しています。最重要責務であるはずのネズミ問題の解決については、依然として「戦術的計画段階にある」とされています。この公式の、しかし明らかに冗談めかした職務記述こそが、彼の魅力の源泉となっています。

また、ダウニング街10番地には猫用のドアがないため、ラリーは象徴的な黒いドアの前で辛抱強く待ち、警官が不憫に思って彼のためにドアをノックしてくれる、という光景が幾度となく撮影されています。この光景は「これ以上英国的なものはない」と評され、世界で最も有名な住所の厳格なプロトコルに、一匹の猫の都合がいかにシュールに組み込まれているかを象徴しています。

国際外交の舞台裏

ラリーは、世界の要人たちとも数々の「交流」を重ねてきました。

オバマ元大統領との友情

デービッド・キャメロン元首相によると、ラリーは男性に対して「少し神経質」になる傾向がありましたが、米国のバラク・オバマ元大統領だけは例外で、彼には懐いていたといいます。この逸話は、ラリーが世界の指導者たちを見定める鋭い鑑識眼を持っているかのような印象を与えます。

トランプ大統領との「対決」

最も有名な事件は、2019年のドナルド・トランプ米大統領の公式訪問時に起こりました。ラリーはまず、トランプ夫妻とメイ首相夫妻の記念写真に「フォトボム(意図しない写り込み)」を敢行。その後、雨を避けるために大統領専用車「ザ・ビースト」の下に潜り込み、移動を拒否。これにより、厳重に警備された車列が一時的に停止する事態となりました。ジャーナリストたちは、「反トランプデモ隊ですら成し得なかった車列の停止を、猫のラリーが成功させた」と大々的に報じたのです。

ゼレンスキー大統領の出迎え

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を出迎える姿も目撃されており、国際的な舞台での存在感を示しています。

@Number10cat

ラリーには、X(旧Twitter)上に90万人近いフォロワーを持つ、絶大な人気を誇る非公式のパロディアカウントが存在します。このアカウントは、英国政治の混乱を猫の視点から風刺的に解説することで人気を博しています。

例えば、ボリス・ジョンソン政権崩壊時には、「良心に照らして、もはやこの首相と共に暮らすことはできない。彼が去るか、私が出ていくかだ」という最後通牒を突きつけ、もし午前10時までに辞任しなければ「彼の靴の中に糞をしてやる」と脅迫しました。また、富豪として知られるリシ・スナク氏が首相に就任した際には、「明日から私のメニューはキャビアとロブスターになるだろう」と期待を表明するなど、人間のコメンテーターが口にすれば角が立つような鋭い批判を、猫のペルソナを借りることで巧みに表現しています。これは、英国流政治風刺の好例と言えるでしょう。

ウェストミンスターの縄張り争い

政治とは縄張りと影響力を巡る争いであり、ラリーの世界も例外ではありません。ダウニング街の路上では、ドラマチックなライバル関係が繰り広げられてきました。

ラリー vs. パーマストン

2016年、外務・英連邦省は独自のネズミ捕獲長としてパーマストンを任命しました。これが、ラリーとの熾烈な縄張り争いの幕開けとなります。二匹はしばしば激しい喧嘩を繰り広げ、毛や首輪が引きちぎられるほどの乱闘が目撃されました。ラリーはある戦いで足を負傷し、獣医の治療を必要としたと報じられています。

メディアと大衆は、このライバル関係を「ブレグジット(英国のEU離脱)のメタファー」として熱心に報じました。当時のキャメロン首相(EU残留派)の官邸に住むラリーは「体制派」の猫、ボリス・ジョンソン外相(当時、EU離脱派)の外務省に所属するパーマストンは「挑戦者」と見なされたのです。さらに、パーマストンは少なくとも27匹のネズミを捕獲したと報告されており、ラリーよりも有能なネズミ捕りであったことが、二匹の個人的な敵意に職業的な嫉妬の層を加えることになりました。この長きにわたるライバル関係は、2020年にパーマストンが引退し、バミューダで新たな任に就いたことで終結しました。

新世代の挑戦者たち

パーマストン以前にも、ラリーは当時の財務大臣ジョージ・オズボーンの飼い猫で、隣の11番地に住んでいたフレイヤと複雑な関係にありました。野良猫としての経験で鍛えられたフレイヤの方が、より支配的で有能なネズミ捕りだったと考えられています。フレイヤは最終的にダウニング街を追われ、ラリーは再び唯一のネズミ捕獲長となりました。

そして2024年、キア・スターマー政権が誕生すると、ラリーの縄張りには二匹の新たな猫が加わりました。保護猫のジョジョと、シベリアン子猫のプリンスです。スターマー首相は、小さなプリンスをベテランのラリーに会わせることに懸念を示し、ラリーが喧嘩で「優勢になる」ことを心配していると語っています。ラリーの非公式Twitterアカウントは既に優位性を主張し、「ダウニング街で最もハンサムな猫としての私の地位は揺るぎない」と宣言しており、新たな猫たちの権力闘争が予感されます。

国民のチャンピオン:ラリー人気の文化的分析

なぜラリーはこれほどまでに愛される国民的キャラクターになったのでしょうか。単なる可愛い猫というだけでは説明できない、より深い文化的背景があります。

混沌の時代における安定の象徴

ラリーは、デービッド・キャメロン、テリーザ・メイ、ボリス・ジョンソン、リズ・トラス、リシ・スナク、そしてキア・スターマーという6人の首相に仕えてきました。彼は個人のペットではなく公務員であるため、政権が交代してもダウニング街10番地に留まり続けます。ブレグジット、新型コロナウイルスのパンデミック、そして頻繁な首相交代といった未曾有の政治的混乱期において、ラリーは「唯一の安定した存在」となったのです。首相は一時的ですが、ラリーは不変なのです。

国民が選んだ「反政治家」

ラリーは、彼が共に暮らす本物の政治家たちよりも、一貫して高い支持率を誇ります。2024年の世論調査では、彼の純好感度は+40%に達し、当時のリシ・スナク首相(-36%)とキア・スターマー労働党党首(-7%)を圧倒しました。この人気は、国民からの静かな抗議、あるいは政治へのコメントと解釈できます。猫を愛することで、彼らは人間の政治家に対する倦怠感を表現しているのです。あるTikTokのコメントは、この心情を的確に捉えています。「ラリーは私が信頼する唯一の政治家だ」

近年の英国政治は、スキャンダルや内紛、そして政治家と国民との間の断絶によって特徴づけられてきました。政治家への信頼が低い時代において、ラリーは「本物」であると認識されています。彼は嘘をつかず、言い訳もせず、守れない約束もしません。彼の動機(昼寝、食事、キツネの追跡)は透明で共感を呼びます。国民が彼を尊敬と愛情の対象として持ち上げるのは、人間の指導者たちには与えがたい信頼を彼に見出しているからでしょう。彼の高い支持率は、この現象を直接的に示しています。したがって、ラリーを愛するという行為は、ささやかではありますが力強い政治的行為なのです。それは、複雑でしばしば期待を裏切る一時的な「政治家」よりも、単純で正直で信頼できる「猫」を好むという、国民の意思表示に他なりません。彼は政治の中心に住みながら、その対極にある「反政治家」として機能しているのです。

「オペレーション・ラリー・ブリッジズ」:国家的重要性の承認

ダウニング街の職員が、ラリーが亡くなった際の公式発表のためのメディアプランを準備していることが報じられました。そのコードネームは「オペレーション・ラリー・ブリッジズ」です。これは、エリザベス女王2世の逝去計画「オペレーション・ロンドン・ブリッジ」など、王室の主要メンバーの逝去に際して準備される計画を彷彿とさせます。この計画の存在そのものが、彼の地位を最終的に証明しています。彼は単なるペットではありません。その死が国家的な重要事象と見なされ、政府による調整された対応を必要とするほどの、一つの「制度」なのです。

ネズミ捕獲長官ラリーの不朽の遺産

ラリーは、英国の公的生活に、ユニークで消えることのない足跡を残しました。彼は単なるペット以上の存在です。彼は政治評論家であり、外交問題の原因であり、混沌の時代における安定の象徴であり、そして愛される国民的アイコンです。

彼の物語は、動物への愛情と権力への穏やかな風刺を巧みに融合させた、この英国ならではの伝統の永続的な魅力を浮き彫りにします。一匹の猫が、ただ猫らしくあることによって、政府の中枢における不動の地位を築き、次々と入れ替わる権力者たちよりも長く生き残り、彼ら全員を見送ってきました。その単純で、深く、そしてしばしば滑稽な影響力は、今後も長く語り継がれていくことでしょう。

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